UFBはどう作る?生成方式と発生装置の仕組み
UFBはどう作る?生成方式と発生装置の仕組み
「UFBって、そもそもどうやって作っているんだろう」。シャワーヘッドや給湯器のページを見ていると、そんな疑問が浮かぶことがあります。装置の中で何が起きて、あの目に見えない泡ができるのか。
先に要点をお伝えします。UFB(ウルトラファインバブル)の作り方には、いくつかの決まった方式があります。国際規格でも整理されるくらい、方法はある程度体系化されています。そして大事なのは、方式によって出る泡の大きさ・数・持ちのよさが変わるという点です。つまり「作り方が違えば、水の中身も違う」ということです。
もう一つ、買う前に知っておくと得なことがあります。生成方式や業界の認証は「泡がちゃんと出ているか」に関わる話であって、「あなたに効くか」を保証するものではありません。ここを分けて考えると、「UFB搭載」という言葉の中身を落ち着いて見極められます。
なお本文では、情報の出どころ(規格や公的な基準か、研究者の解説か、メーカーの説明か)がわかるように書き分けています。仕組みの細かい物理まで追う必要はないので、製品選びに役立つところを中心にまとめます。
まず前提:UFBは「1000分の1ミリより小さい泡」
作り方の前に、言葉だけ確認します。国際規格 ISO 20480(日本のJISも同じ内容)では、泡を大きさで次のように分けています。
- ファインバブル … 直径100マイクロメートル未満(下の2つの総称)
- マイクロバブル(MB) … 1〜100マイクロメートル(水が白く濁る)
- ウルトラファインバブル(UFB) … 1マイクロメートル未満(無色透明で目に見えない)
※1マイクロメートル=1000分の1ミリ。髪の毛の太さは約70〜100マイクロメートルです。
UFBはこの中でいちばん小さい泡です。サイズが小さいうえ数を数えるほど個々の泡のコントラストがつきにくく、肉眼では白い濁りとして認識しにくいため、UFBだけの水は透明に見える、というのが特徴です(「光を散らさない」わけではなく、見え方の問題です)。大きさと見分け方をもう少し知りたい人は「マイクロバブル・ナノバブル・UFBの違い」へどうぞ。
生成方式は大きく分けて数パターン
「作り方」は職人技のようにバラバラではなく、いくつかの型に分けられます。ファインバブルの生成方法は国際規格 ISO 20480-3(2021年)でも体系的に扱われていて、加圧溶解方式・静止型ミキサ方式・電気分解方式・超音波(キャビテーション)方式などが記載されています。
研究の側でも整理は進んでいます。ナノバブルの総説論文(学術誌『Chemical Engineering Research and Design』2023年)は、機械撹拌・加圧溶解・超音波・ベンチュリ・電気分解といった各方式について、出てくる泡の大きさや数の傾向がそれぞれ違うことを横断的にまとめています。
ここで一つ大事な前置きがあります。下の表はどれも「ファインバブル(MBとUFBの総称)を作る方式」です。UFBだけを作る専用の方式が並んでいるわけではありません。同じ方式でも、運転条件や機種によって、主に大きめのマイクロバブル(水が白く濁る泡)が出ることもあれば、UFBが多く出ることもあります。「この方式=UFBが出る」と一対一で決まるわけではない、という点を頭の隅に置いて見てください。
代表的な方式を、ざっくりした仕組みと使われ方で並べると次のようになります。
| 生成方式 | ざっくりした仕組み | よく使われる場面 |
|---|---|---|
| 加圧溶解方式 | 水に圧力をかけて気体を溶かし込み、一気に減圧して泡を析出させる | 業務用の水処理、浮上分離(DAF)など大型設備 |
| 旋回流・遠心方式 | 高速でぐるぐる回す流れで気泡を巻き込み・引きちぎる | 家庭用シャワー、入浴装置、給湯器など |
| ベンチュリ・静止型ミキサ方式 | 流路を細くして水の流れを速め、圧力差やせん断で泡を砕く | シャワー、農業・水処理、後付け装置など |
| 超音波・キャビテーション方式 | 音の振動で微小な泡を発生・崩壊させる | 精密洗浄、研究用途など |
| 電気分解方式 | 電気で水を分解し、水素や酸素の泡を発生させる | 機能水(水素・酸素)の生成など |
| 膜・多孔質方式 | 細かい孔から気体を送り込んで微細な泡を出す | 曝気(酸素供給)、水処理など |
安井久一氏(産業技術総合研究所)が日本音響学会誌(2017年)にまとめた解説では、UFBは水中に1mLあたり1000万〜1億個ほど存在し、粒径のピークは100〜200ナノメートル付近にあると整理されています(1ナノメートル=100万分の1ミリ)。生成方法としては旋回流やベンチュリのような流れの力を使う方式と、超音波による方式が挙げられています。方式ごとに得意な泡のサイズや数の傾向が違う、というのが研究側の見方です。
「作り方が違えば中身も違う」のはなぜ大事か
同じ「UFB水」でも、どの方式で作ったかによって、含まれる泡の大きさの分布・1ccあたりの数・時間が経ったときの持ちが変わります。
たとえば、大きいマイクロバブルが多めに混ざる方式もあれば、小さいUFBだけを狙って高純度で作る方式もあります。泡の数(個数濃度)も、生成のさせ方や条件で大きく差が出ます。
これは製品選びに直結します。「UFB搭載」という同じ言葉でも、実際に出ている泡の中身は製品ごとに違いうる、ということだからです。だからこそ、言葉のインパクトだけで判断せず、どんな泡がどれくらい出るのかという中身に目を向けるのが近道になります。泡の「数」の見方については「個数濃度と測定の見方」で詳しく扱っています。
家庭用と業務用で、向いている方式が違う
方式にはそれぞれ得意な規模があります。ざっくり言うと、家庭用と業務用で主流の作り方が分かれます。
家庭用のシャワーヘッドや給湯器では、旋回流(渦流)方式やベンチュリ方式がよく採用されます。ポンプや電源を足さずに、水道の水圧だけで泡を作れるからです。後付けタイプや内蔵タイプに向いた仕組みで、以下に挙げるのもその一例です(市場のシェアを網羅的に調べたデータではなく、代表的な例として読んでください)。
具体例を挙げます。人気のシャワーヘッド「ミラブル」(株式会社サイエンス)は、吐出口ごとに高速の渦流を起こして外気を巻き込み微細な泡を作る「トルネードミスト方式」で特許を取得している、とメーカーが説明しています。給湯器では、リンナイが、流路の途中で泡を発生させたあと逆回転の2つの旋回流で乱流を強めて泡を細かくし、浴槽へ供給する構造で特許を取得しています(いずれもメーカーの製品・特許情報)。
一点だけ補っておきます。特許を取得したことは「その構造や作り方が新しいと認められた」という意味であって、その製品でどれだけの泡が実際に出るか、肌や汚れに効くか、までを証明するものではありません。また、ここで挙げた特許番号は二次情報にもとづくため、厳密には特許庁のデータベースで原本を確認するのが確実です。「水圧で泡を作る」系の仕組みは家庭用で採用されやすい、という程度に受け取ってください。
一方、業務用や産業用では、加圧溶解方式(DAFなど)のような大型設備が使われます。旭化成のARCレポート(産業レポート)は、産業分野では加圧溶解式と旋回液流式が主流で、ほかにエゼクター式・微細孔式・超音波式などがあると整理しています。大量の水を安定して処理するには、こうした据え置き型の設備が向いています。
つまり「どの方式が優れているか」ではなく、「その用途・規模に合った方式が選ばれている」というのが実際のところです。
買う前の注意:生成方式や「認証」があっても、あなたに"効く保証"ではない
ここが、この記事でいちばん伝えたい注意点です。
生成方式が確かでも、業界の認証が付いていても、「その泡があなたの肌や汚れにこう効く」という結果まで保証されるわけではありません。ただし「認証はただの発泡テストだ」と切り捨てるのも正確ではないので、そこを整理しておきます。
業界団体ファインバブル産業会(FBIA)の製品認証は、規定どおりの微細な泡がちゃんと出るかという発生性能に加えて、登録された特定の効果や使用条件、品質管理、広告の表示なども審査の対象にする制度です(業界団体の制度)。つまり「泡が出ているだけ」を見ているのではありません。一方で、効果を示す試験データは申請者(メーカー自身)が実施したものでもよいとされていて、国が効果を保証する仕組みでも、第三者による独立した臨床研究でもありません。
だから認証は「ただ泡が出ているだけの証明」でもなければ、「認証があれば効く保証」でもありません。その中間にある、と受け取るのが正確です。
測定の面でも同じ考え方が規格になっています。ISO 7429-1(2024年)は、シャワーヘッドのような水圧で動くノズルから出るファインバブルを、大きさと数の指標で評価する試験法を定めています。これも「どんな泡がどれだけ出るか」を測る枠組みで、洗浄や美容の効果を証明する規格ではありません。
だから買い手としてのコツはシンプルです。
- 「◯◯方式だから効く」「認証済みだから効く」と、生成方式や認証を"あなたに効く証明"として受け取らない
- 生成方式は「泡がちゃんと出る土台」、認証は「発生性能に加えて効果・条件・表示も審査されたしるし(ただし自社試験も可・国の保証ではない)」として見る
- 効果が気になるなら、その用途で検証があるかを別に確認する
まとめ:仕組みを知ると「UFB搭載」の中身が見える
- ファインバブル(MB・UFBの総称)の生成方式は、加圧溶解・旋回流・ベンチュリ・超音波・電気分解・膜方式などに分けられ、ISO 20480-3でも体系化されています。同じ方式でも条件しだいで、主にMBが出ることもUFBが多く出ることもあります。
- 方式によって出る泡の大きさ・数・持ちが変わります。だから「作り方が違えば、水の中身も違う」のです。
- 家庭用シャワー・給湯器は水圧で動く旋回流やベンチュリ方式が採用されやすく、業務用は加圧溶解などの大型設備が中心です(市場全体を調べたデータではなく、代表例としての傾向です)。
- 生成方式は「泡が出る」土台の話です。FBIA認証は発生性能に加えて効果・条件・表示も審査しますが、試験は自社実施も認められ、国の効果保証や独立した臨床研究ではありません。どちらも「あなたに効く保証」とは分けて考えます。
仕組みがわかると、「UFB搭載」という言葉の内側にある中身を見に行けるようになります。あとは、その中身をどう読み解くかです。次の記事へどうぞ。
- 泡の「数」の読み方を知りたい人は → 「個数濃度と測定の見方 —「1cc◯個」の読み解き方」
- 大きさの違いと見分け方を押さえたい人は → 「マイクロバブル・ナノバブル・UFBの違い」
- そもそもの基礎から知りたい人は → 「ウルトラファインバブルとは?」
- 「UFBって怪しいのでは」と感じている人は → 「UFBは怪しい?規格と測定から検証」
- シャワーヘッドを具体的に比べたい人は → 「ファインバブルシャワーヘッド比較」
よくある質問
Q. UFBは家庭でも作れますか? A. 家庭用のシャワーヘッドや給湯器、後付けアダプターの多くは、水道の水圧で渦流(旋回流)やベンチュリの流れを起こして泡を作る仕組みです。特別な電源やポンプがなくても、水を通すだけで微細な泡が発生するタイプが中心です。ただし、どれくらいの大きさ・数の泡が出るかは製品によって差があります。
Q. どの生成方式がいちばん優れていますか? A. 一概に「これがいちばん」とは言えません。方式ごとに得意な泡のサイズや数、向いている規模が違うからです。家庭用の小さな流量に向く方式もあれば、業務用の大量処理に向く方式もあります。用途に合った方式が選ばれている、と考えるのが実際に近いです。
Q. 加圧溶解方式とベンチュリ方式は何が違うのですか? A. 加圧溶解方式は、水に圧力をかけて気体を溶かし込み、減圧して泡を一気に出す方法で、大型の水処理設備などで使われます。ベンチュリ方式は、流路を細くして水の流れを速め、圧力差やせん断で泡を砕く方法で、シャワーなど家庭用にも向きます。どちらも出る泡の傾向が異なります。
Q. 「FBIA認証」があれば効果は確実ですか? A. 「確実」とまでは言えません。FBIAの製品認証は、規定どおりの泡が出る発生性能に加えて、登録された特定の効果や使用条件、品質管理、広告の表示も審査する制度です。「ただ泡が出ているだけ」の証明ではありません。ただし効果を示す試験データはメーカー自身が実施したものでもよく、国が効果を保証する仕組みでも、独立した臨床研究でもありません。認証は判断材料の一つとして見て、効果はその用途での検証を別に確認するのがおすすめです。
この記事の参考文献(出典)
- ISO 20480-1:2017 / JIS B8741-1:2019「ファインバブル技術—用語」(公的な情報:規格)[UFB-DEF-01]
- ISO 20480-3:2021「ファインバブル技術—生成方法」(公的な情報:規格)[UFB-DEF-04]
- ISO 7429-1:2024「水圧駆動ノズルのファインバブル評価」(公的な情報:規格)[UFB-DEF-17]
- ファインバブル産業会(FBIA)製品認証登録制度(公的な情報:業界団体)[UFB-DEF-20]
- 旭化成 ARCレポート RS-1007「加速するファインバブル技術の産業化」(メーカー調べ:産業レポート)[UFB-GEN-01]
- 安井久一(産業技術総合研究所)「ウルトラファインバブル」日本音響学会誌 73(7), 2017(研究で確認:学会誌の解説)[UFB-GEN-07]
- 「Fundamentals and applications of nanobubbles: A review」『Chemical Engineering Research and Design』189, 2023(研究で確認:査読つき総説)[UFB-GEN-09]
- 特許第6717991号・第6775552号 トルネードミスト方式シャワーヘッド(サイエンス/ミラブル)(メーカー調べ)[UFB-PAT-16]
- US11925908B2 微細気泡生成・給湯システム(リンナイ)(メーカー調べ:特許)[UFB-PAT-17]
※情報源の区分 —— 研究で確認/公的な情報/メーカー調べ/使った人の声。出典番号[UFB-…]は編集部の引用データベースに対応します。



