UFB入浴の温まり効果は本当か —査読論文で検証
UFB入浴の温まり効果は本当か —査読論文で検証
「ウルトラファインバブルのお風呂は芯から温まる」「湯冷めしにくい」。給湯器やバス機器の宣伝でよく見る言葉です。冬の寒い夜に湯船でしっかり温まりたい。その気持ちに刺さるうたい文句です。
ただ、給湯器タイプは工事も必要で決して安くありません。「温まる」に期待して選んでも、ふつうのお湯と大差なければ残念です。ここでは宣伝ではなく研究の中身から、温まり効果の本当のところを確かめます。
UFB(ウルトラファインバブル)のお風呂の温まり方は、査読つきの研究では「さら湯(ふつうのお湯)とほぼ同じ」でした。「UFBだから特別に温まる」ことは、体の生理データではあまり支持されていません。むしろ白く濁る「マイクロバブル浴」のほうが温まったという結果があります。つまり温まり目的でUFBを第一に選ぶと、肩透かしになりやすいのです。とはいえこれは「UFBに価値がない」という話ではありません。目的が温まりなのか、保湿なのか、洗浄なのかで選ぶべきものが変わります。それを整理して、あなたの目的に合う選び方までご案内します。
なお本文では情報の出どころ(査読研究で確認されたことか、公的な基準か、企業の共同研究か)がわかるように書き分けています。
まず言葉の整理:UFBとマイクロバブルは別物
温まりの話をする前に、ひとつだけ区別しておくと混乱しません。ファインバブルには大きく2種類あります。
- ウルトラファインバブル(UFB):直径1マイクロメートル(1000分の1ミリ)未満の、目に見えない泡。水は透明のまま。
- マイクロバブル(MB):直径1〜100マイクロメートルの泡。お湯が白くにごって見える。
この大きさの区分は国際規格(ISO 20480)で正式に決められています。宣伝では「ファインバブル」とひとまとめに語られがちですが、温まり方については、この2つで研究結果が分かれます。ここが今回のいちばんの読みどころです。
査読研究では「UFB浴はさら湯とほぼ同等」だった
温まりを体の反応から調べた研究があります。
西村直記さん・河原ゆう子さん・盛興美千代さんのチームが、健康な成人女性7名を対象に調べました。UFB浴・マイクロバブル浴・さら湯浴の3つを、それぞれ40℃・10分の全身浴で試し、耳の中の温度や皮膚温、汗の量、皮膚の血流などを1秒ごとに記録しています。結果はこうでした。この研究の主な指標である耳内温(耳の中の温度)の上昇がいちばん大きかったのはマイクロバブル浴で、UFB浴はさら湯とほぼ同じだったのです。汗の量もマイクロバブル浴が最も多く、UFB浴が最も少なくなりました。この研究は査読つきの学術誌『日本温泉気候物理医学会雑誌』(2020年)に報告されています。
言いかえると、「UFBだから体が特別に温まる」ことは、この生理データでは支持されませんでした。温まりという点で目立ったのは、UFBではなく白くにごるマイクロバブル浴のほうだったのです。
別のチームの研究も、この向きと矛盾しません。青木駿介さん・野々山昌生さん・早坂信哉さんが健康な男女12名にさら湯・マイクロバブル入浴・UFBシャワーを比べたところ、体の表面温度はさら湯とマイクロバブル入浴で上がりました(査読つきの学術誌『日本健康開発雑誌』2025年)。この研究にはUFBシャワーの条件も含まれますが、これはシャワーで、湯船に肩まで浸かる全身浴とは使い方そのものが違います。温まり方を同じ土俵で比べられる比較ではないので、シャワーと全身浴は分けて読む必要があります。
いずれも参加者は7人・12人と少なめです。この点は、やや注意が必要です。それでも「UFBで特別に温まる」を積極的に裏づける査読研究は、いまのところ見当たりません。
この研究の条件では、マイクロバブル浴がさら湯より高かった
では研究の条件では、どの入浴が高い値だったのか。並べると、いずれもマイクロバブル浴がさら湯を上回っていました。
さきほどの西村さんらの研究で、耳内温の上昇が最大だったのはマイクロバブル浴でした。主観的な「あたたまり感」でも近い結果があります。早坂信哉さんらが健康な成人女性11名に水道水浴とマイクロバブル浴(どちらも40℃・15分の全身浴)を試してもらったところ、14項目の主観評価のうち12項目でマイクロバブル浴が良好でした。その中には「全身のあたたまり感」も含まれます(査読つきの学術誌『日本健康開発雑誌』2020年)。
つまりこれらの研究の条件では、UFB浴よりもマイクロバブル浴のほうがさら湯より高い値だった、ということです。ただし参加者は7名・11名と少なく、限られた条件での結果です。マイクロバブルと名のつく製品なら必ず温まる、という話ではありません。
「温まる」に、UFBならではの上乗せは確認されていない
もうひとつ、期待値を合わせるうえで大切な視点があります。「温まる」「湯冷めしにくい」に、UFBならではの上乗せは、いまのところ研究で確認されていません。特に「湯冷め」を直接比べた研究データは示されていません。
入浴時の体温の上がり方は、40歳以上の男女を対象にした研究で健康指標と関連する可能性が示されています(査読つきの学術誌『日本健康開発雑誌』2024年)。ただしこれは相関を見た研究で、泡の種類との優劣や、特定の入浴方法の効果を示したものではありません。
温浴と睡眠の関係でも、参考データがあります。ノーリツと九州大学の発表によると、健康な男女23名に就寝前のシャワー浴と浴槽浴を比べ、舌下温(深部体温の指標として測った値)を記録したところ、しっかり浴槽浴のほうが寝つきが早く主観評価も良かったとされています(ノーリツと大学の共同実証)。これはメーカーが関わる実証で査読研究ではなく、しかも泡の種類とは無関係な話です。あくまで温浴一般の参考として押さえておくくらいがちょうどよい情報です。
だから「湯冷めしにくさ」についても、それをUFBが上乗せするという研究データは示されていません。UFBやマイクロバブルは、温まりに"プラスアルファ"を期待しすぎないくらいに見ておくと、期待とのズレが起きにくくなります。
ここは「言い過ぎ」に注意
給湯器やバス機器の宣伝を見たあとだと、温まりへの期待がふくらみがちです。だから、正直に言います。
「UFBで芯から温まる・湯冷めしにくい」の断定には裏づけが薄い
「UFBだから芯から温まる」「UFBだから湯冷めしにくい」と強く言い切る宣伝がありますが、それを積極的に裏づける査読研究は、いまのところ見当たりません。むしろ温まりの生理データはさら湯とほぼ同等でした。温まりを主な理由にUFB給湯器を選ぶと、期待とのズレが起きやすい部分です。
「〇℃改善」の数字は、条件と出どころを分けて読む
「口腔温が〇℃上がる」といった数字を見たら、それが査読研究のものか、企業の試験や共同研究のものかを一度確かめると惑わされません。被験者数や測定条件が公開されているかもポイントです。消費者庁も、合理的な根拠のない効果表示は優良誤認(景品表示法違反)になりうるとしています。数字が嘘とは限りませんが、確かめたい軸が2つあります。ひとつは査読を受けているか、もうひとつはメーカーが資金や機器提供などで関わっていないか。査読の有無とメーカー関与の有無は別の話なので、両方を見て信頼度を判断すると惑わされません。
「ファインバブル」表記だけでは中身がわからない
研究の条件ではマイクロバブル浴が高かった、という話をしました。ところが製品では「ファインバブル」とだけ書かれ、UFBなのかマイクロバブルなのかがはっきりしないことがあります。見た目が白くにごるかどうかだけでは判断しきれません。マイクロバブルを含んでも必ず白く見えるとは限らないからです。粒径(泡のサイズ)の表示・発生方式・製品ごとの試験データを確認すると、選び違いを防げます。
結局、温まり目的なら「こう選ぶ」
期待値を現実に合わせたうえで、前向きに整理します。
- お風呂でしっかり温まりたい人:泡について言えば、研究の条件でさら湯より高い値が出たのはUFB浴ではなくマイクロバブル浴でした。ただし限られた条件・人数での結果です。UFBならではの温まりの上乗せは確認されていないので、粒径表示や試験データも確かめて選ぶのが現実的です。
- 肌の水分量に関心がある人:マイクロバブルは、前腕をお湯につけた試験(40℃3分の前腕浴)で角層(肌の表面)の水分量が水道水より上がりました[UFB-HOME-02]。UFBについても、前腕にシャワーを当てた査読研究があり、詳しくは保湿の記事で整理しています。いずれも前腕で測ったもので、温まりとは別の軸です。
- どのタイプでも共通して言えること:「湯冷めしにくさ」を泡が上乗せするという研究データは、いまのところ示されていません。
逆に「UFBなら芯から温まり、湯冷めしない」とだけ期待して選ぶと、肩透かしになりやすいのが正直なところです。温まりが第一の目的なら、UFBという名前だけで選ばず、粒径表示や試験データを確かめて選んでください。
まとめ
- 査読研究では、UFB浴の温まり方(主な指標は耳内温の上昇)はさら湯とほぼ同等で、「UFBで特別に温まる」は生理データでは支持されにくい(成人女性7名・40℃10分の全身浴)。
- これらの研究の条件で、さら湯より高い値が出たのはUFB浴ではなくマイクロバブル浴。耳内温の上昇も主観的なあたたまり感も、マイクロバブル浴が良好という査読研究がある(いずれも限られた条件・人数での結果)。
- 「湯冷めしにくさ」を泡が上乗せするという研究データは、いまのところ示されていない。
- 「〇℃改善」などの数字は、査読の有無とメーカー関与の有無を分けて読む。「ファインバブル」表記だけでは温まりに向くか判断しづらい。
- 温まりが第一なら、UFBの名前だけで選ばず、泡は粒径表示や試験データで選ぶのが現実的。
次に読む(あなたの目的に合う選び方へ)
シャワー後の肌の水分量について詳しく知りたい方は「UFBシャワーは肌に効く?保湿研究でわかっていること・いないこと」で、査読研究の中身を整理しています。効果の全体像を先に押さえたい方は「UFBは「効果ない・嘘」は本当?エビデンスで検証」、買って後悔したくない方は「UFBのデメリット(水圧・湯冷め・価格・過剰洗浄)」もどうぞ。
温まりの実像がわかったら、UFBとマイクロバブルの違いそのものも押さえておくと選び分けが楽になります。粒径ごとの特徴は「マイクロバブルとナノバブル・UFBの違い」で、目的別の得意・不得意は「UFBの効果まとめ」で整理しています。
よくある質問
Q. UFBのお風呂にすると、ふつうのお湯より温まりますか? A. 査読研究では、UFB浴の温まり方(主な指標の耳内温の上昇)はさら湯とほぼ同じでした。「UFBだから特別に温まる」ことは、いまの生理データでは支持されにくいのが正直なところです。
Q. 温まりたいなら、どのタイプが向きますか? A. 研究の条件では、UFB浴よりマイクロバブル浴のほうが耳内温の上昇・あたたまり感ともに良好でした。ただし限られた条件・人数での結果です。
Q. 「UFBで湯冷めしにくい」は本当ですか? A. それを積極的に裏づける査読研究は、いまのところ見当たりません。「湯冷め」を直接比べた研究データも示されていません。
Q. 「口腔温〇℃アップ」という宣伝を見ました。信じていいですか? A. 参考にはなります。ただ確かめたい軸が2つあります。査読を受けているか、そしてメーカーが資金や機器提供などで関わっていないか。この2つは別の話です。被験者数や測定条件が公開されているかも見ておくと安心です。
Q. 温まらないなら、UFBには意味がないのですか? A. いいえ。温まりは得意分野ではないというだけで、角質層の水分量では査読研究の裏づけがあります(測ったのは前腕の水分量で、保湿感や洗い上がりそのものではありません)。目的が温まりなのか、保湿・洗浄なのかで選ぶものを変えると、満足度が上がります。
この記事の参考文献(出典)
- 西村直記・河原ゆう子・盛興美千代「UFB浴の温熱生理学的効果」『日本温泉気候物理医学会雑誌』83(3), 2020(研究で確認:査読つき学術誌)[UFB-HOME-05]
- 早坂信哉ほか「マイクロバブルバス入浴の心身の主観的評価」『日本健康開発雑誌』41巻, 2020(研究で確認:査読つき学術誌)[UFB-HOME-03]
- 早坂信哉ほか「マイクロバブルバス入浴の角層水分量・保湿への影響」『日本健康開発雑誌』43巻, 2022(研究で確認:査読つき学術誌/前腕部分浴・マイクロバブル)[UFB-HOME-02]
- 青木駿介・野々山昌生・早坂信哉「多様な入浴方法が生体情報に与える影響」『日本健康開発雑誌』46巻, 2025(研究で確認:査読つき学術誌)[UFB-HOME-06]
- 「入浴頻度および体温上昇と健康との関連」『日本健康開発雑誌』2024(研究で確認:査読つき学術誌)[UFB-HOME-51]
- ノーリツ×九州大学 入浴による深部体温上昇と睡眠 2023(大学との共同実証)[UFB-HOME-52]
- ISO 20480-1:2017 / JIS B8741-1:2019「ファインバブル技術—用語」(公的な情報:規格)[UFB-DEF-01]
- 消費者庁「景品表示法/表示規制の概要」(公的な情報)[UFB-SAF-08]
※情報源の区分 —— 研究で確認/公的な情報/メーカー調べ/使った人の声。企業の共同研究や自社試験の数値は、有利な条件設定・詳細非公開の可能性があります。査読の有無と、メーカーが関与しているかどうかは別の軸として分けてお読みください。出典番号[UFB-…]は編集部の引用データベースに対応します。


